倒れこんだその後

容易く体が蒸発します
助けを呼ぶ間もないですね
外で猫が酷く鳴いています
虫が月の上で影絵をします
影は猫の瞳に入り
涙に溺れてしまうのです

何もかもが狂おしいほどです
だからこそ出来ないことがあります
それを両手に程よく丸め
地平のかなたへ投げるのです
疲労が溜まって捕まって
誰かのおかずになるみたい

ただただ存在を確認しあって
だけど苦しみの味などしません
即興で出来た自分でいい
それ以外に必要なんてないですね
猫が痛みで響く夜
触るといまだ冷たいままです

も どる