他人のための骨

自我が在ることが
何より苦しいこの日々で
悲しみといってしまうには
余りにも哀しい選択なのです

それが丁度日々の終わりの暗闇のように
私には不安でしかありえません
そして潰れたペットボトルにさえ
恐怖を感じずにはいられないのです

強い方の美的感覚には
もうすでに私はついていくことができません
本当に素晴らしいものを見たときのあの
吐き出しそうな嫉妬がたまらなく厭なのです

自分という枠を作り展開することに
もううんざりした私が立っています
そして何より複雑に形成された
この世界を嘆き続けるのです

私という意志はもう一瞬の障害物として
渦巻ききれず漂っています
今ここで消えてしまう意志を弔い
完結を現象としてごまかすのです

無意味な言葉は止めました
そして自我を失った乾いた骨が
今もこうして欲望を抜きながら
杏の花に憧れ続けているだけなのです

叶わぬものと
知りながら

も どる