シラン

目が覚めて泣きました
娘を酷く打つ母親
空気中に含まれる窒素が抱えた孤独
手足の足りない恋人達
私の瞳から後から後から零れ落ちて
ついには惨めです
私の体に潜んでいた優しさは人を傷つけ始めて
細分化された誰彼の情緒に心乱されて
膨らんだ自罰に体が足りなくなって
雨になって
もうこの世の中に一つも心などない気がして
言葉は赤く私を決して許さない
駄目です
呼吸のたびに秘密が増える
晴れた朝は私には不親切でした
輪郭を帯びるほどの思い出
もうどうなってしまってもよかった
もうどうなってしまってもよかった
押し付けた哀愁が戻ってきた頃に
私は大きく大きく羽をつけて
強く揺れるシランの花を探します

も どる