大凡彼には見当がついていました。愛情のありか
の、事実の夢の、貴方にとっての彼の。しか
し彼は大凡見当がついていたせいで、何もかも失ってし
まったのです。月よ、さよなら。彼は死体の
ように息を吸った後、大きく眼を見開いてこう呟きました「(月夜の下で
彼は自分には大きすぎる花束を片手にそれも、枯れて
しまってもう笑いかけてはくれない貴方はどうしても私のこと
を好きになってはくれないら
しく、いじらしいその顔がとたんに憎くなり、僕は
何度とも泣く殴りつける、殴りつける、殴りつける! しおらし
くなった彼はこうやっても僕は違うと言い張り、大衆に罵倒
され、憎しみしか生まぬこの世界の不条理さよ! 子
供は)僕はどうしてもこの世界に溶け込
むことは出来なくて、悔しくて悲しくて心がビリリと音をた
て引き裂かれ、その片割れを彼女は大切に下
着の中にしまい、スイッチで自由自在に彼女を操れると錯覚に陥
りました」今日は月が綺麗、今日は月が
綺麗! 月を抱きしめた太陽はいやらし
い顔をして、まるで其れが自らのもののような口ぶりで言いまし
た「官能的な月はその暖かな子宮をあらわにしながらしかし気丈に、誰しもが泣き喚くし
かし気丈に誰しもが怒り狂う、お気遣いなく誰しも彼女の
想うままに生きていたいと願っているのならば、こんなに諍いなく僕は僕は、
この僕は、誰も何
も言わないように貴方の口をふさいでしまう事だっ
て出来たのに「ロマンティック」大凡彼
には見当がついていました」脳姦され
た彼女は四つんばいになりその両足はすでに彼女のもので
はなく僕のものに成り果て、ただ
ただその柔らさを保持した其れが何度ともなく夢のよう
な出来事! 灰になった煙草が失
ったものは少しの優しさとその命で、」様々なものが破
壊されバラバラになったこの部屋で、僕は血潮が落ちる両手を前に
して言う「僕が悪いんじゃない
、この病魔が僕を駆り立てるんだ、僕は悪くない僕は悪くない
。それを抱きしめた彼女は小さく呟く」そういう貴方が好き。そういう貴方が素敵。だっ
て愛を、愛を。あああ、どうしてもこ
んなにも暴力に成らなければいけなかったのか、
暴力なんて振るいたくないのに、誰も傷つけたくな
かったのに、誰も傷つけたくなかったのに! もう。叫んで! 叫ん
で怖い怖い怖い怖い。いやああアアア。やめてやめて助けて助けて僕を助け
て、誰か助けて、
僕の気持ちを殺して僕を殺してじゃなければ、僕が殺して
しまう、殺してしまう、殺して。彼は言いました、そして僕
は想ったのです。この世の中などくだら
ないと、戯言のようにそう呟いたとたん、世界は暗転しま
した。誰かが準備をしています。僕はその準備に加わるこ
とが出来なかった。其れを悔や
んでいる。永遠に悔やんでいる。さ
ようなら、ごめんなさい。ごめんね。あああ、空が綺麗、だ。空、
が、綺麗、だ、。バラバラ、バラバ
ラ。「壊れちゃう! だめ、壊れちゃう! 壊れる」ベキベキ
ベキベキベキベキ。べき。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさいごめ
んなさい。ごめんなさい。本当にごめんな
さい。僕は幸せを生きていたいだけなのに、僕は誰かの心を感動さ
せたいだけなのに。な。僕はただ、誰かに好きっ
て言われたいだけなのに。誰かに
ああ、ああ、誰かに、
そっと静かに幸せだっ
たって、幸せ
だった、
って
言い

かった
笑いたかった
幸せ
だけ
なの

も どる