片鱗

僕が壊されてしまった
誰彼の何気ない生き方や
一匙の心無い苛立ちに
その幾重の目による監視に
絶望を望む子供たちに
激情を知らぬ大人たちに

そうして壊された僕は
部屋の片隅で語るに落ち
言述の幽霊に怯えて
くらくらするほどに一人
急に泣き出した胎児が見える
失意を纏った少女が見える

早く消えてしまいたい
貴方など初めからいなかった
無骨な自己像により八つ裂き
元に戻れぬ命を患う
夢の続きで他人を呪う
僕にはいつも覚悟が足りなかった

も どる